ストロベリー革命
 二人を乗せた電車は、すぐにドアが閉まり動き出した。

「……あたし直に嫌われちゃったのかと思った」

 天花が悲しそうに話すのを聞き、直は後悔した。

 確かに虫好きなところはかなり嫌だが、嫌いになった覚えはない。

 それに自分のせいで天花を悲しませていた事がとても辛い。

「でも手繋いでくれたから、嫌いじゃないって事でしょー?」

 天花は恥ずかし気もなく言っているが、聞いている直は顔から火が出るくらい恥ずかしい。

「てっ、天花の事は……嫌いじゃないっ……」

 雰囲気に流されて、とんでもない事を口走っていた。

 隣に座っている天花の顔なんか絶対見れないので、直はずっと下を向いている。

(俺、天花に敵わないかもしれない……)

「ホントー? よかったぁー。あたしは大好きだよー。友達として」

 天花が最後に言った“友達として”という言葉がどうも引っかかる。

 自分も天花に友達以上の気持ちを抱いているのかわからないが、なんだかモヤモヤする。

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