ストロベリー革命
 直の気持ちは複雑だった。

 直は可愛い格好が大好きで、女装までして女子校に通っているけれど、それでも本当の女の子を頼りにするのは、男としてなんか悔しい。

 自分の弱点はいっぱいあるのに、天花の弱点は見つからないし、頼ってばかりいるのは情けない。

 かと言って、一人で見回りなど地球がひっくり返っても無理だ。

 女の子もどきは女と男の境目をさまよっていた。



 翌日、朝の水やりのため天花が校舎裏の花壇へ向かうと、見知らぬ女の子が一人立っていた。

 青い髪の毛に豪快な縦ロール。大きな瞳にツンとした眉毛。

「あのっ、花好きなの?」

 天花はその女の子に声をかけた。

「これ、あなたが育てたの?」

「最初から咲いてたものもあるけど、今はあたしが育ててるのー」

「そう。綺麗ね」

 そう言うと女の子は後ろを向いて帰りだす。

「あっ、名前教えてっ」

「二年三組、藤堂怜華。あなた知ってる。変わり者で有名だから」

< 62 / 133 >

この作品をシェア

pagetop