ストロベリー革命
 ここでの生活にもようやく慣れて、楽しくなってきたから。

 何より自分が退学になると、この学園を薦めた母ちゃんを悲しませる事になる。

(あたしがふざけて直の髪の毛を取ったからバレたんだ。あたしが悪いね……。母ちゃん、家族の皆ごめんなさいっ!! 天花は田舎に帰ります)

「あ、あたしっ」

「天花は関係ないよ……。悪いのは俺だから、俺が出てく」

 天花は何か言おうとしたが、その声は直によって遮られた。

「ええっ!? あたしがっ――」

「話はそれだけ? じゃあ俺もう帰るね」

「あっ直、ちょっと待ちなさい!」

 理事長の話を無視して直は理事長室を出て行った。

 理事長室に残された二人はというと、

「はぁー……。あたしの教育が間違ってたのかしら。安易に女子校に入れるんじゃなかったわ」

 理事長は秘密の棚から隠していたお酒を取り出して飲み始めるし、

「あたし退学じゃないんですかー?」

 天花は事態を理解出来ず、ずっとソファーに座っている。

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