ナイト
第1章

通学路




「い、行ってきます!」



慌ただしく家を飛び出して行ったのは──



あたし、佐々木友美(ササキユウミ)



今日から新高校1年生になる



「ちょっと友美!!朝ご飯は…!?」



玄関からあたしと同じく慌ただしく飛び出して来たのはあたしのお母さん



「いらない!だって時間ないもん」



このままだったら本当に遅刻しちゃう……!



自転車に鍵を差し込んで慣れた手つきで乗った



相変わらずの早乗りだ。



「だから入学式の日は早く起きなさいって言ったのに……」



お母さんは呆れたように言ってきた



「ごめんね!明日はちゃんと朝早く起きるから!」



自転車を一気に漕ぎ出した



スピードをあげていくと風があたしの中を透き通るように吹いている



冷たくて気持い………。



それと同時に今日から高校生なんだという"緊張感"



そして"ワクワク感"…胸を弾ませるような感じ



でも何よりも遅れてしまうことの"焦り"が一番今のあたしを襲っていた



< 1 / 40 >

この作品をシェア

pagetop