ナイト




水嶋海貴はあたしの様子に気がついたのか足を止めて、あたしを眺めていた。



気のせいか、さっきよりも距離が近い気がする。



「いや、なんでもないよ。ただ不安になっただけ」



「不安?……そっか、お前生徒会のメンバーになるもんな」



水嶋海貴は生徒会室を眺めて、そう呟く。あたしは小さく頷いた



水嶋海貴だって、生徒会メンバーにはならないものの、あたしのパートナーとして守護係のメンバーになる



決して他人事とは言えない



あたしが落ち込んでたら、それに巻き込まれてしまった水嶋海貴はどうするんだ



「大丈夫。任された仕事だもんね、頑張らないと」



いくら生徒会メンバーになったからと言ってクヨクヨしていてもしょうがない気がする



それに、水嶋海貴に呆れられてしまうと思った。



「あれ、珍しいね。こんな時間に生徒がいるなんて」



吸い込まれるように生徒会室の扉を眺めていると、あたし達以外誰もいないはずの廊下に声が響いた。



もちろん、あたしと水嶋海貴の声じゃない。2人揃って驚いたように後ろを振り返った。



「見ない顔だけど…1年生?」



あたし達に声をかけてきたのは驚くほど美形の男子生徒だった。……き、綺麗



「あ、はい。そうです」



突然のことに水嶋海貴もあたしも拍子抜けしていた。



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