想い人〜許されないこの想い〜
「約束するよ…。二度とあんなことはしない!!」



そうして、私とあなたは事務所を出た。


ホームで電車が来るのを待っていると不意にあなたは

「本当に良かったのか…?」と聞いてきた。

もう完全に遅刻となった私とあなたはベンチに座っていた。


「何がですか?」


「あのじじ…じゃなくて、おじさんを警察に引き渡さなくて…」


「はい。良かったんです。もし引き渡されたらあの人の一生は壊れるでしょう?」


「そりゃそうだけど…」


「良かったんですよ。あれで!!」

私が笑うとあなたも笑って、
「優しいんだな…並河は。」
と言った。
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