想い人〜許されないこの想い〜
顔が赤くなるのがわかったから、私は下を向いた。


「そんなこと無いですよ…。」
そう呟いたけど、多分聞こえて無かったと思う。


蚊の鳴くような声だったし、丁度ホームに電車が入ってきたから。


「おっ!!電車乗るか!!」
そう言ってあなたはベンチから腰を上げた。



私もそれに続いて電車に乗り込むが、頭の中では同じことがグルグル回っていた。



《笑顔見ただけでこんなになるなんて…。まさか…まさかね。先生と生徒なのに…》

でも思考が行きつく先はいつも同じだった。


「…………先生は…結婚してますか?」
電車の中であなたとドアを挟むように向かい合いながら立っている時、

私は無意識にそんなことを聞いていた。
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