想い人〜許されないこの想い〜
「え…先生?

……まさかね。」

だけど声はどんどん近づいてくる。

「あっ!!並河みっけ!!」


「先生…何で…?」


「お前が急に教室飛び出すから追いかけてきた。」


「授業は!?」


「皆には今、プリントを解いてもらってる。

……お前…泣いてたのか?」


そう言って、私の目にわずかに残る水滴を指で拭ってくれた。


「泣いてませんよ…?」


「強がるなよ。

……何で泣いた?俺に話せ。」


心配そうに私の顔をのぞききこむあなた。

《私を……疑うんじゃなくて心配してくれてる…》

そう思うと、再び涙腺が緩んだ。
< 61 / 121 >

この作品をシェア

pagetop