想い人〜許されないこの想い〜
「わたっし…菊地さんの財布……ほん…とに知らないんですっ…

だけど、皆…が私を、疑ってるような気が…して…っ」


嗚咽混じりの言葉は聞き取りにくかったと思う。

だけどあなたは、私を優しく抱き締めてくれた。


「並河…大丈夫。

お前を疑ってるのは菊地のグループの奴らだけだぞ。

他の奴らは並河がそんなことしないってわかってる。

……もちろん、俺も。
だから泣くな!!」


「ひっく…っ…せんせぇ…」


「ん?」
私の頭を撫でながらあなたは首を傾げる。

「ありがとうございます…」

< 62 / 121 >

この作品をシェア

pagetop