【短】聞こえないから、もう一回!!
「うわぁ〜静か…」

体育館から少し離れると校舎には静けさしかなかった。

なんか不気味……かも。


教室に向かって歩いて行くと、前から人影が近づいてくる。


「へ…?だ、誰…?」
空気が冷たくなった気がする。

思わずしゃがむ。


「あれ…倉橋?」


「!?

この声…木暮先輩!?」

顔を上げると、ゼッケンが入った箱を抱える木暮先輩が立っていた。


「どうした…?体調悪い?」
心配そうな顔をしてくれる。


「あ、大丈夫です!」私は立ち上がった。


「そっか。

ねぇ、今のこの会話、聞こえにくい?」


「平気ですよ。

私、左が聞こえにくいだけで右は正常なので。」


「へぇ〜左だけ…」
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