4 X’mas story
それからユルネクとルチアはその種と、互いの手を握りしめ、オアシスのある土地へと向かっていった。

しばらくしてから帰ってきたルチアに私は尋ねた。

「なぁ、一銭も金がなくなっちまって、これからどうするんだ」

「しばらくは食事も我慢するし、診療所のほかに、衣服を縫って売ったり、今まで以上に働くわ。ユルネクの願いがきっと叶うように、私は願っているから」



クリスマスを祝福する木は、まだ種が植えられただけである。

そもそもそんな願いの叶う木の存在など信じていやしないが、少なくとも彼女の幸せはもはや叶ったのであれば、それもいいか。

と、私は思うようにしている。


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