4 X’mas story
童顔で細い手足の、まるでこの作業には向いていなさそうな男の方、クリスが言う。

「きっとこうやってこの伝説は語り継がれてきたんだよ。何人もの人間が入れ替わり立ち替わり。次の人間がくるころには前の人間は果てない土掘りに疲れ果て去っていく。そうして何百年、何千年と言い伝えられてきたんだ」

「私はあきらめないわ」

太い手足で獣のような図体の、トーマスが言う。

「オレらにしてみりゃ不思議でしょうがないけどね。みんな簡単に考えすぎなんだよ。短い人生なんだから、こんなとこで土を掘ってる時間があるなら、別のことして楽しんだ方がよっぽどいい。早く帰る方が正解だと思うね」


「じゃあなぜあなたたちはここに?」


あはは、と大きな口をあけて二人が笑う。


「あきらめたくないからさ」
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