4 X’mas story
「お前らももういいんだぞ、あきらめても」

クリスはときどきそんなことを言うけど、私は目尻を引っ張って舌を出し、ノエルは無視するように土を掘り続けた。

特にノエルは私たち3人が休憩をとっているときも、ほとんど休憩せずにひたすらつるはしを振るっていた。

ノエルはここでつるはしを握る男たちと何かが違っていた。


そのとき私は感じた。


私は金を得て、何をしたいというのだろう。

あのいたいけな少女が見た夢はどんな色をしていたんだろう。

そしてその夢のために、今自分は何をしているのだろう、と。

たぶんノエルは、そこが私と、きっと違うんだろう。

彼にはもっと重要な、金が必要な理由があるに違いない。

他の一攫千金で生涯遊んで暮らそうと考えてやってきた輩と比べて、瞳の色がもっと深いような気がした。

どうして金を掘っているのか、と尋ねても、彼は「それは言えない」と口をつぐんだ。

そういえば、私は他の3人が金を掘る理由をよく知らない。
< 29 / 65 >

この作品をシェア

pagetop