4 X’mas story
ある夜、ふと掘立小屋で目を覚ますと、クリスが椅子に座り、窓の外を眺めていた。

「どうした。明日ももちろん掘るからな。休んどけよ」

「何を考えてたの」

「少し昔を思い出してさ。何でもない」

私は他の3人の昔を知らない。

ただ今、同じ目的に向かっているという意識の共有だけで十分だという気もするから、あまり聞こうとも思わなかった。

それによって逆に亀裂が入ってしまいそうな気さえしたから。

でも、その夜の不思議な雰囲気に騙されるように、私はクリスに尋ねた。

「ねぇ、クリスとゴートンは、なぜ金を掘るの?」

「なんだよ、今さら」

クリスは立ち上がって私の前に近づくと

「お前と同じだよ。限りない富と自由だ。お前も貧しい国の生まれなんだろう。こんなところへ訪れるやつの生い立ちなんか、だいたい同じようなものさ。その憧れの強さが、オレもゴートンも同じようにある」

生まれ育った環境が貧しいもの、自分の過ちにより生活が苦しくなったもの、不運に出会い貧困に陥ったもの。たくさんの人間がいる。

「オレとゴートンは金を掘り当てたら、海へ出るのさ。そして世界中を自由に旅して一生を終える。旅先で一番豪華な宿に泊まり、一番贅沢な飯を食う。でもそれだけじゃない」

「なに?」

「同じように苦しんでいる人を、助けたい」
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