4 X’mas story
街へ質の良さそうな石を売りに行くとき、こんな汗だくでボロボロに衣服という身なりなのに、軟派な男どもは私に言い寄ってくることがしばしばある。

私が金を掘っていると知ってか知らずか。

そう、それこそ単純に巨万の富を得たいだけなのであれば、大富豪の男といわゆる玉の輿にのればいいのだ。

しかし私はなぜかその選択をしてこなかった。

特にこの街に来てから、しつこかった男は覚えている。

延々と喋り続け後をついてきた宮廷の庭師。
街はずれの洒落たケーキ屋で働いているといいながら急に髪を撫でてきた男は、まだ半分くらい子どものようだったか。
自分が作った服や帽子はみんな流行になると言いながら衣服を無理やり渡してきた男とか。

自分たちが身に着けたメッキの素晴らしさを訴えかける。

私が求めていたものは、限りない富と自由ではないのかもしれない。

街の男どもに軟派されてる私に「自分で何とかしろ」とばかりに一瞥もくれず歩いていくこの男が抱くような、私が幼いころから今まで抱き続けてきたような、浪漫を求めているのかもしれない。

そんな気がするようになった。

その先には、彼がいるようになった。
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