4 X’mas story
何日か費やして小屋に金を持ち帰り、運び出せる限りの量を箱やら袋やらに詰め込んだ。

なにせ有り余るほどの金が出る。

そして今度は当てのない発掘じゃない。

あの場所を掘れば金があるということがわかりきっている、という作業はこれまでのものに比べれば遥かに精神的に楽だった。

そして実際にはある程度掘り出したところで、金は見えなくなり、地層はよく見る土に戻ってしまった。

それでもきっと4人で一生遊んで暮らせるだけの金は掘り起こしたと思えるには十分な量だった。


4人分の分け前を分配し、クリスが話を切り出した。


「さて、これからどうするか、だが、まず金の換金はこの国では行わない方がいい。なにせオレ達が何年もここで山掘りをしているなんてのは、ふもとの人間にとっちゃ、確かにどうでもいいが、誰もが知っていることには間違いない。そんなオレ達が少しでも金を換金してみろ、たちまち噂になって狙われるに決まっている。他の街でもあの山が世界的な伝説になっている山だということは国民なら頭の片隅にある。そこで大量の金が交換されれば誰でも怪しむ」

なるほど、もっともだ。

「そこでだ。オレはここで金を掘り当てたら、かねてから海へ出ようと思っていた。使っても使ってもなくならないほどの金をかかえて世界を旅する大富豪さ。まずはゆっくり隣国へ出て、それから金を換金して船を手に入れる。どうだ、ついてきてくれるか?」

私がゆっくりうなずこうとすると、ノエルが突然、土下座の姿勢をとって話し出した。
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