4 X’mas story
ノエルはゆっくりと息をしている。

最愛の人の命を背負っている男だ、他の人とは違うわけだ。

クリスも同じようにゆっくりと息を整え会話を続けた。

「…で?船を盗むって?」

「そうだ、この街の港に停めてあるレンディアの舟だ。あれなら他の漁船と違って毎日海へ出ることはないから、監視や警備の目さえくぐれば、前もって金や荷物を積み込んでスムーズに出港できるはずだ。あれをかっさらう」


レンディアとはふもとの街で一番の金持ちだ。

どのくらい金持ちかというと、たいして乗りもしない船を3隻もっているくらいの金持ちだ。

ノエルは港の地図が書いてある紙を取り出し、船の停泊位置や監視員の動きなどを細かに説明し、見つかることなく荷積みや出港できるまでの段取りを話した。

金が手に入ってからのことを考え、前もって最短で故郷へ帰る方法はこれだと確信し、調べていたのだろう。
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