4 X’mas story
ユルネクの戯言はこれにおさまらなかった。

あるときは
「オアシスをもうひとつ、さらにひとつ、もっともっと見つけてリゾート地にしてやる」
とか
「新種の生き物を見つけて、ここに博物館兼動物園を作らせてやる」
など、いつもそんなことを言いながら、土を掘っていた。

確かにこの街は東の国と西の国を、海を隔てて分かつ中間地点のような場所にあり、旅人が訪れることもしばしばあった。

ただもちろん、この街の存在など知ることもなく。

ここに何かそういったものでもあれば、多少は隣国に名が知れ、多くの人が訪れるかもしれないが、なにせこの街は貧しい。

裸で走り回る子どもがいるくらいは当然。

戯言を騒ぐ若者がいるくらいも当然、それほど貧しい。
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