4 X’mas story
しかし、少し気が付くのが遅かったかもしれない。

街の中心にあるレストランの周りにはすでに騒ぎをききつけた人が出回っているし、厳重な扉の奥や、高い壁の向こうに店を構えている場所が多い。


冷たい風が私の頬と髪を撫でたとき、私に嫌悪感の混ざった記憶がよみがえった。


「ケーキ屋……確か、そうだ。街はずれにあるケーキ屋」


私の独り言をすかさずクリスが拾う。

「街はずれのケーキ屋、あれか。あそこなら人通りも少ないし、大掛かりな門もないぞ」

「それだ」

私たちは疾走した。

街外れのケーキ屋へ。
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