4 X’mas story
ケーキ屋に着き、強引にガラスをぶち破ろうとしたトーマスに「こっち、いける」とノエルがサインを出す。

すんなりと裏口の鍵が開いて中に忍び込むことができた。

思ったよりも厨房は広く、戸棚の数が多そうだ。

「もう街じゃ騒ぎが広がっている、もたついている暇はない、明りをつけるぞ」

裏口の脇にあったスイッチが切り替わると、白い清潔感のある明りが点いた。

それと同時に私たちは戸棚を端から開け放ち、中を確認していく。

調理器具、食器、果物。

「あった、これだ」

白い粉の入った透明な袋がいくつも積み重なっている棚があった。

「すごい、こんなにある」

「よし、ひとつ残らず運び出せ」

トーマスの抱える箱に戸棚に入っていた袋を詰めるだけ詰め込む。迅速かつ丁寧に。箱からこぼれるようなことがあってはいけないし、バランスを崩してトーマスが素早く動けないようでも困る。

ケーキ屋に入っていくらか時間が経過している。

まずい。

そろそろ誰かくるか。
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