4 X’mas story
「待て!何してる」

悪い予感は当たるものだ。

この店の者であろう若い男が表戸から入ってきた。

不幸中の幸いなことに、すべて盗品は抱えた状態で、あとは逃げるだけだった。

私たちはぐっと息を飲み、屈んだ姿勢から立ち上がると、裏口から屋外へと出た。

足場は悪い。

ごつごつとした石の上や泥濘んだ土、ねずみや山鳥などを踏んずけた気もする。

しかし日々の重労働によって鍛えられた足腰でそのまま裏山を駆け抜け、林を潜りぬけ、掘立小屋へと戻ってきた。



「危なかった」

「毎日鍛えられた足腰だ。そう簡単に追いつかれてたまるか」

トーマスが箱を床に置くと、盗んできた袋のひとつが破けているのがわかった。

何気なく、指でつまみ舐めてみた。
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