4 X’mas story
あまりに無謀すぎたのだろうか。

どこまでも広がる空の下で途方に暮れる。

必ず生きて帰るというのは、そんなに甘くない。

なんでもやればいいってもんじゃない。

僕は若すぎたのか。父もこんな風に思っていたのだろうか。今どこにいるのだろうか。


ぼんやりとした意識の中、マリカの山鳥が、何か木の実を咥えていることに気が付いた。

僕は意識をハッキリと持たせ、じっと見つめた。

「おい、その木の実はどこからとってきた!?」

するとマリカの鳥は白い翼を広げゆっくり空を旋回しだした。

「ついてこいってことだな」

なんとかおんぼろ船の舵を取る。

この先に、木の実があるはず。何かの木があるはず。陸があるはず。

そう信じて、マリカの鳥をついていった。
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