4 X’mas story
見えた。

陸だ。

その奥のほうに大きな白く雪の積もったような木も見える。

本当にこの鳥は幸運の鳥だと、心の中が震えていた。

体の中にかすかに残る塩分と水分が涙になって出てきてしまったが、それでももう惜しくなんかなかった。


陸地はすぐに砂漠になっていた。

そこから一本木を目指し歩く。

するとそこにオアシスがあるのがわかった。

生き返った。

これは生き返った。

オアシスで天高く伸びた大きな一本木には、マリカの鳥と同じように白い翼の鳥が、たくさん木にとまっていた。

遠くからはそれが雪が積もったように見えたのだった。

どうやらこの木の実が彼らの主食、もしくは好物なのかもしれない。

さらに幸運なことにオアシスに水を汲みにきた人に話を聞くと、ここが、まさにここが僕の目指していた医療大国だったのだ。
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