4 X’mas story
私はその診断をくだし、彼ら2人の喜んだ顔を見てきたばかりだった。

少しばかり悦に浸りたくなり、ある店で酒をたしなんでいた。

「ドクター、今日は機嫌がよさそうね」

「あぁ、あの子たちの愛と、医学の進歩に乾杯したい気分になってね」

「そう。原因不明といわれていた、あの病気ね」

「今ではさらに研究も進んで、新薬も開発されているそうだ」

「その薬、オレが作ったんだ」

ウェイトレスと話をしていると、カウンターの端にいた若い男が割って入ってきた。

「ははは、そうか、そうか。そりゃすごい」

「与太話だと思うならそれでもいいさ。オレのお陰でルチアはあの薬の研究を進めることができたんだ」

その名が出てきたときは、まんざらでもないか、と感じざるを得なかった。

「ルチアという名くらい、少しの学があれば知っておるが、どれ、聞かせてみてくれ」

「もう15年くらい前になるかな。オレは当時あの国の小さな街にいたんだ。そこでルチアに恋をしたのさ」
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