4 X’mas story
男は目の前の酒を飲み干すと、次を注文した。
「当時はちょうど、あの国が医療大国へと変革し始める時期だった。その中でルチアは朝から晩まで奔走していたらしい。
オレはそんなことにはさして興味がなかったんだが、あの街の外れにオアシスと1本の木があり、ルチアは毎日のようにそこにきていた。
その木は”クリスマスツリー”と呼ばれていた。モミの木でもなんでもないのに」
クリスマスツリー……シェリスから聞いた話が脳裏をかすめた。
「その木は当時から遡ること数年前、ルチアがある旅人に騙されて買った種を育てたものだったそうだ。
オレはオアシスの近くで暮らしていた。ルチアが毎日健気に水をやる姿がなんとも可憐だった。
彼女が言うには、この木をとても大切にしていると、そしてもっと大きな木にしたいと。
少しばかり植物の知識があったから教えてあげたんだ。
無駄な枝葉をとるといいと。
横に広がりすぎている枝葉に養分がいかないように。
というか女性にそんなことさせるわけにはいかない、オレが梯子と鋏や鋸を使ってやったんだけどね。
彼女が水をやり、オレが枝葉を整えた。あのころは彼女との楽しい時間を過ごすことが生きがいだった」
視線を遠くにやった後、男は取り替えたばかりの酒を一気に飲み干し、次を注文してから話を続けた。
「当時はちょうど、あの国が医療大国へと変革し始める時期だった。その中でルチアは朝から晩まで奔走していたらしい。
オレはそんなことにはさして興味がなかったんだが、あの街の外れにオアシスと1本の木があり、ルチアは毎日のようにそこにきていた。
その木は”クリスマスツリー”と呼ばれていた。モミの木でもなんでもないのに」
クリスマスツリー……シェリスから聞いた話が脳裏をかすめた。
「その木は当時から遡ること数年前、ルチアがある旅人に騙されて買った種を育てたものだったそうだ。
オレはオアシスの近くで暮らしていた。ルチアが毎日健気に水をやる姿がなんとも可憐だった。
彼女が言うには、この木をとても大切にしていると、そしてもっと大きな木にしたいと。
少しばかり植物の知識があったから教えてあげたんだ。
無駄な枝葉をとるといいと。
横に広がりすぎている枝葉に養分がいかないように。
というか女性にそんなことさせるわけにはいかない、オレが梯子と鋏や鋸を使ってやったんだけどね。
彼女が水をやり、オレが枝葉を整えた。あのころは彼女との楽しい時間を過ごすことが生きがいだった」
視線を遠くにやった後、男は取り替えたばかりの酒を一気に飲み干し、次を注文してから話を続けた。