4 X’mas story
ろれつも少しずつ覚束なくなってきているようだったが、まだ私と対話しているという理性は保っているようだ。

「彼女にも想いは告げずに?」

「彼女には、街にいたころに何度も声をかけた。
一切、見向きもされなかったがね。そのときはオレとあとしつこいのが2人いてね。
衣服の装蹄師だったか、宮廷の庭師だったか。
とにかく彼らとも意気投合して、よく彼女を讃える会みたいなこともやったな。
あぁ、ちなみにさっきの無駄な枝葉をとるっていうのはその庭師から聞いたんだけどな。
そのとき庭師は自分がいかにすごいかの自慢話ばかりするわ、装蹄師は過度な露出の服を作ってくるわ、オレは半分子どもみたいなもんだったから、女性にどう接していいかわからないわで、みんな見向きもされないのも当然といえば当然か。
オレはきっと大人の女性みたいなのに憧れてたんだな」
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