パラレル・ワールド~君と僕の今
意味不明の言葉の向こうで、その言葉を発した二人の頭上には、輝く光の輪みてぇなもんが俺には見えていた。
そういう輪っかは、徳の高い坊さんの頭の上なんかによく見える。
そう言う意味じゃ、あの二人は悟りを開いた賢者に近い存在だったっつうこったな。
実際、二人が現れたことで、俺の寒気も納まっていた。
「どうやらキミには霊感があるようね。
ただし、知識のない感覚的な霊感が。
怖れることはないわ。
キミが望むなら、この水盤の力によってキミの能力を解き放ってあげてよ」
「や、止めてくださいよっ!
シンさん、助けてっ!」
ま、こういう場合、深入りは禁物だ。
俺は悟りなんてもんにゃぁ興味はねぇ。
煩悩に溺れる方が性に合ってるってもんだぜ。