会いたいと思ったから



作られてから、おおよそ千年は経つであろうその壺は、何の曇りも、汚れも、傷もなく置かれていた。

店の奥で、品物を拭いている奥さんを見ると、いかにこの骨董品屋が由緒正しいところであるか…わかった気がする。


「これ、いただきたいのですが…」


俺は、遠慮がちにご主人に話しかけた。

すると、ご主人がしゃがんでいる棚から顔を出して言った。


「お前、お勘定だよ」

「やだわぁ、今手が離せないのよ!」

奥さんが大事そうに品物を抱えている。


「怜!レジ手伝ってちょうだい」




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