会いたいと思ったから
深さんは、動かなかった…固まってたのかもしれない。
「置いてかないよ」
優しく囁かれたときには、もうあたしは深さんの虜で、悔しいけどその優しさに、惚れてしまったらしい。
………ぎゅ。
背中にしがみついたはずなのに、何故かあたしの背中に深さんの腕が回っていた。
深さんが振り返ったのさえ気付かなかった。
「誤解…するよ?」
「え?」
「怜ちゃんが、こうしてくれるのは、俺のことを好いてくれてるんだって、、誤解するよ?」
クス…と笑って、深さんはあたしから離れた。
そしてまた、今度はゆっくりと…歩き始めた。