あの丘に…
『あの…
踊らないのですか?』

彼はほかの者達とは違いあまりお洒落な格好をしていなかった。

『あ…いえ…私は…。
こ…こうやって見ているだけでじゅ…十分ですから…。』

彼は、私が突然話しかけたせいか、少し動揺していた。

私は試しに言ってみた。まぁ一人でもやってやろうとは思ってたけど…。

『外でお話しませんか?
私も静かな所へ行きたいと思っていたもので。
どこか良いお店があれば良いのですが…。』

彼はしばらく困った様子で考えた。しかし答えはYESだった。

『え…えぇ…。こんな時間では閉まっているでしょう。僕の家へ御招待しましょう。』

私は、未だに迷っている様子の彼の手を引いて走った。彼が迷っている事も、突然の事で戸惑っていることも分かっているけど…。でも、とにかく外に出たかったから。
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