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もう5年は同じケーキを買っている。
店員さんもすでに把握しているようで、クリスマスはトナカイの乗ったケーキを必ず作ってくれるのだ。
普段はモンブランを必ず買うから、俺やメグルが店に来ると、何を言わずともモンブランを用意してくれる。
ここのモンブランとコーヒーの相性は、史上最強らしい。メグル的理論ね。
「はい、お待たせしました」
トナカイの乗ったケーキを箱に入れ、店員さんはカウンターの上にそれを置く。
俺はその箱を受け取り、ガラスケースに入ったケーキをしゃがみこんで眺めている、メグルの頭の上に乗せた。
メグルはケーキのせいで顔を上げられないのか、視線だけを持ち上げて、俺を見上げた。
「なに」
「持って」
「えー」
「お前のだろ」
ほら、と箱をメグルの目の前に持って行ってやる。
世界一の面倒くさがり屋なんじゃないか、と思ってしまうほどに面倒な事が嫌いな同居人は、僅かに口を尖らせ、けれど何も言わずに箱を手に取った。
それを見届けてから顔を上げると、店員さんに笑われていて、なんとなく居たたまれなくなった。