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ソファに腕をつき、上半身を起こす。
覗いたコーヒーカップの中には、まだ湯気の立ち上る、熱めの香ばしい飲み物が注がれていた。
「ついでくれたの」
「うん」
「めずらしい」
「なにそれ」
「これは雪降るね」
「うるせ」
「冗談。ありがと」
短いお礼を言葉にしながら、ソファに座り直してカップを手に取る。
そのまま口へと持っていき、カップを傾けてコーヒーをすすった。
舌に残るほろ苦さに、ほっと息をつく。
メグルの淹れたコーヒーは、いつも少しだけ濃い。
水を入れるのが面倒で、サボってるんだっていうことくらい知っている。
でもこの濃い苦みは、案外嫌いじゃなかったりするんだけどね。俺は。
「あ、風呂」
見ているのか見ていないのか、たぶん後者だとは思うけど、今までずっと黙ってテレビ画面を見つめていたメグルが、突然口を開いた。