AM 0:00




顔を上げて、メグルを見る。

メグルは画用紙を見てはいなくて、代わりに窓の外を見ていた。

その視線を辿るように、俺も窓の外へと視界を移す。


夜景の中を、ひらり、と。

舞い落ちる、白い羽があった。

綿ではなく、白い羽。


一瞬だけ、そう、本気で思ってしまった。



「……雪」


呟かれたメグルの言葉に、それがようやく雪なのだと理解する。

ネオンに輝く眠らない街の上。止め処なく舞う氷の結晶。


時刻は23時38分。

滑り込みの、ホワイトクリスマスだった。



「……雪だ」


確認するように、メグルはもう一度“雪”と言った。


「……よかったじゃん」
「うん」
「お前が珍しく自分でコーヒー淹れたから」
「うるさい、バカ」
「はいはい」


少しだけ笑いを含み、悪態を受け流す。




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