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メグルは筆を置いてから、床が汚れないようにと敷いていた新聞紙の上にある、もうとっくに冷えてしまっただろうコーヒーの入ったカップを持った。

それから画用紙を下り、ベッドに寄り掛かるようにして腰を下ろした。


落ち着いてからカップに口をつけたメグルは、普段より多めにコーヒーをすする。

冷えたコーヒーは、猫舌のメグルにちょうど良かったらしい。


「絵はいいの」
「ちょっと休憩」
「ケーキ食べな」
「ユヅルもね」
「甘いのはいい」
「じゃあトナカイあげる」
「トナカイも甘いでしょ」
「でも」
「でも?」
「ひとりで食べても美味しくない」


やっと言った。

朝からずっと、本音はそれだったんでしょ。お前さ。

思わず笑ってしまったから、今年は折れてあげるよ。とかね。



「……負けた」
「負け?」
「食べるよ、ケーキ」
「甘いのに」
「お前が寂しそうだから」
「うるさい」


ちょっとからかうとすぐ不機嫌になる。




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