AM 0:00
言葉を発するのが面倒だから、態度で表すんだって思ってたけど、たぶんそれ、違うよね。
本音を言うのが苦手だから、察してくれよって、意味なんじゃないの。
わかってるよ。どんだけの時間、お前と一緒に居たと思ってんの。
そんな、面倒くさがりで、実は不器用な同居人は、ケーキにフォークを突き立てて、掬うようにして持ち上げる。
その細い手を取って、スポンジと生クリームが当然のようについてきたそれを、俺はぱくりと口に入れた。
しっとりとしたスポンジと、柔らかく滑らかな舌触りの生クリームが、口いっぱいに広がった。
もちろん、甘い香りも一緒。
「……甘い」
「ケーキだし」
「久しぶりに甘いもん食った」
「嫌い?」
「いや、」
“嫌いじゃない”
自然と口をついて出た言葉。
メグルは少し頬を緩めた。