AM 0:00
AM 10:24 面倒くさがりとトナカイのケーキ
カーテンの向こうには、灰色の世界が広がっていた。
どんよりと重たい雲が、今にも高層ビルを飲み込んでしまいそうに思う。
ありえないけど。
26型のテレビから、午後の天気予報が流れてくる。
午後はどんより曇り空。
夜になるにつれて気温が下がり、運が良ければホワイトクリスマスになるでしょう。
そっか、今日クリスマスか。
バルコニーに繋がる窓に向かって、ため息とも深呼吸ともとれない息を吐く。
さきほどよりもだいぶ温まってきた、1LDKのLDK。
それとバルコニーを隔てる透明のガラスはとても冷たく、吐息が曇って風景を濁らせた。
ピー、ピーと。
コーヒーメイカーが、カウンターの上から買い主を呼ぶ。
注文の多いモーニングコーヒーが完成したようだ。
悪いね、メイカー。まだまだお前の出番じゃないよ。
俺はポケットに手を入れて、寒いであろう寝室へと足を向ける。
行きたくないけどね。
面倒だなと、重たい右手を持ち上げて、寝室のドアを開ける。
開けた先から、冷気がこちらへ流れ込んできた。ついでに絵の具の匂いも。