翼を失くした天使の羽音
『僕はね、大切に見守っていこうって思っていたコを、傷つけた。すごく後悔してる。だからこそ、謝ったらダメなんだ。また辛い思いをさせてしまうから』



少しだけ、声が震えてるような……?

気のせいかな??



天人くんの心の中にいる、女のコ。


前に彩人くんが言ってたっけ。
天人くんの視線に気づいてるって……。



それは、わたしがフラれた理由。

天人くんは誰かに恋をしていて、その相手が誰かを知っているって事だったんだ――。



『今、僕がそのコにしてあげられる事は、1つだけ。そのコの幸せを祈る事』



優しいトーンの声が、一粒一粒、わたしの頬を伝う、涙を受け止めてくれてるみたい。



これは辛い涙じゃない。


涙の粒が、こぼれる度に。
心の中、優しい泉が湧いてくる。




どうして、間違えてしまったんだろう?



こんなに温かい声を――…
こんなに優しい声を――…


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