翼を失くした天使の羽音
学級委員が、各教科のテスト範囲を調べて、後ろの黒板に書き出しをする事になっていて。


わたしと奏子ちゃんは、クラスメイト達と一緒に、テスト範囲を生徒手帳のメモ欄に書き写す事に。


と――。

トン。

誰かと肩がぶつかった。



「天人くん」

「神崎さん」


久しぶりに、お互いの名前を呼んだ。



ニコッ。

微笑んだ天人くん。

つられてわたしも笑った。



――本当の笑顔を見せる約束。


ちょっと遅くなったけど、果たせたんだ。



「何っ、何っ、今の――?」


不思議がる奏子ちゃんに、


「内緒」


と答えた。



「えぇー!! 気になるじゃんっ」

「ナイショ」


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