翼を失くした天使の羽音
昼休み――。

奏子ちゃんと一緒に、図書室でテスト勉強。

の、はずだったんだけど。



「優音、先に行ってて」



奏子ちゃん、有澤くんに呼ばれて、
顔を真っ赤にしながら教室を出て行っちゃって――。



仕方がないから、1人で図書室に来たんだ。



あの雰囲気は、告白かなぁ――。


奏子ちゃん、最近よく有澤くんの事を話してたから。

話を聞きながら、両想いなんじゃないかな、って思ってたんだ。





「う……届かない……」


本棚の一番上に並んでいた、ケータイ小説の本。

読みたかったのに……。


手を伸ばしても、高すぎて取れない。

あきらめようと、背伸びをやめた時。




「これでいい?」



声と同時に、読みたかった本が、目の前に差し出された。




「え?」



顔を上げると、天人くんがいた。


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