翼を失くした天使の羽音
今から5ヵ月前。
雨が降り続いた――6月。



わたしはまだ1人ぼっちで……。

梅雨の時期は、昼休みがとても長かった。



図書室しか暇つぶしの場所がなかった、あの頃。

毎日、本を借りて読んでいた。



その日も、本を借りようと図書室に入った。




そしたら、1つのテーブルの上に、開いたままの雑誌や本が散らばっていた。

中を見回しても、誰も気にしていない様子だった。



わたしは、暇だったし、片付けようと、そのテーブルに向かった。

1冊ずつ閉じて、棚に戻しにいくところだった。




「手伝うよ」


そう言って、本を半分持ってくれた人がいた。




「神崎さんだよね、同じクラスの」



名前を呼ばれて、目が合った瞬間から。

とても優しいその人に、恋をしてた。





それが、天人くん。



初恋のはじまりだった...




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