翼を失くした天使の羽音
えっと……。

校舎2階の廊下の突き当たり――。



「あった、ここだ」


初めて入る、生徒会室にドキドキしながら、



「し……失礼します」



中へ入ると、何人かの先輩たちが目に入ってきて、さらにドキドキしてきた。



「神崎さん」


天人くんが、手招きしながら、わたしを呼んでくれて、

トコトコと、その横に並んで立った。



「ごめん、遅くなって」


スーッと呼吸を整えて、ドキドキを抑えて、

平静を装いながら、わたしは小声で謝った。



「気にしないで、僕も今来たとこだから」


天人くんがそっと耳打ちをした。



ドッキーン。


天人くんの息が耳元にかかって、わたしの心臓はもうバクバク。



平常心、平常心。


必死に自分に言い聞かせる。



ドキドキが止まらないうちに、



「よっ、天人。久しぶり」


茶髪にピアスの、いかにも軽そうな男のコが話しかけてきた。


だけど、この人……。



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