翼を失くした天使の羽音
――天人くん、自分の気持ちに嘘ついてると思う。優音の気持ちに応えなかったのかは、何か理由があったんじゃないかな――



歩き出した天人くんの後を追って、横断歩道を渡りながら。

奏子ちゃんの言葉が、頭をよぎった。



知りたい。

あのスケッチブックの絵の事……。



気になる。

さっき何を伝えようとしたのか。




ねぇ――…

聞いてもいい?


天人くんはさっき、どんな言葉をわたしに…………?



――「僕さ……本当は神崎さんの事……」――




好キナンダ――――……



なんて。

あるわけ……ないよね?



「あ……あの……っ」



あぁ、もうっ、聞いちゃえ!




「どうしたの?」



天人くんが、立ち止まったわたしを振り返った。


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