翼を失くした天使の羽音
「僕は、ちゃんと伝えたから」



夕日に照らされて、天人くんの髪の色が、彩人くんと同じ色になってる。



まぶしいよ。




「今度は、神崎さんの番だよ」


天人くんが優しく笑った。




「えっ?」



何の事――?




「好きなんでしょ、彩人の事」




どきんっ。

天人くんの問いに、少し迷いながらも、




「――――うん……好き」



とても小さな声で、答えた。





「僕からのお願い。彩人と向き合って……ちゃんとその想いを伝えて欲しい」


大好きだった、あの優しい声でそう言った。




――『今、僕がそのコにしてあげられる事は、1つだけ。そのコの幸せを祈る事』――




「…………ありがとう」


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