翼を失くした天使の羽音
――『ゆんちぃに会いたかったから』――


――『今日の事は、あいつには内緒。だから、安心して』――


――『あのー、俺の彼女なんで、手を離してもらえます?』――




「……俺が……勝手にゆんちぃを好きなだけだから……それだけだから……なんて……」



彩人くんの言葉、どこまで信じればいいの?



全部が嘘だったのかな?



もしそうなら……。

気持ちの入っていない告白なんて、いらなかった。



動き出してしまった、わたしの気持ち……。

どうしてくれるの?



あの日、寂しかったあたしの心に気づいてくれた彩人くん。


初恋も、失恋も、友情も、新しい恋も、全部……。

彩人くんがきっかけだった。




それを知った今――。
よけいに苦しいよ……。



彩人くんの気持ちが、全然分からない――…



お願いだから……わたしの事も見て……?




ゴシゴシ。
涙を拭って立ち上がる。



その足で、わたしが最後に向かったのは――…



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