翼を失くした天使の羽音
その時。


「彩人くんっ」


懐かしい声がして、顔を上げると。



「サラ……」

懐かしい笑顔が、そこにあった。




「久しぶり」

「……おう」



あの頃と変わらない雰囲気。
心地いい沈黙が続いた――。




ブランコとシーソー。
水のみ場に砂場。


緑に囲まれた公園の中のベンチに、

俺とサラは、微妙な距離を置いて座った。




「彩人くん、あのね」

「サラ、実は――」



2人同時に話を切り出して、言葉が重なった。




「サラから言って」

俺に、サラの言葉を遮る資格はない。



「うん……。わたしね、思い出したよ……全部」

足をぶらぶらさせながら、サラは言う。



「ごめんね……辛い思いをさせて。あの事故のせいで、傷つけてしまって、ごめんなさい」



サラの声が、微かに震えていた。


何でサラが謝るんだよ。
違うだろ……?


「謝る事ないよ。悪いのは全部、俺だから」



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