翼を失くした天使の羽音
ふ……ふぁーすと……きすぅ?


え? え??


「……え……?」


わたし、彩人くんの顔を見上げる。



「俺とサラは、清き交際。手だってつないでない」


信じられない言葉。



「嘘だぁ!」

「ホ・ン・ト」


彩人くんが、片目をつむって見せた。



ドキ――ドキ――。


「えっ……じゃあ……」


嘘……ホント……に……?



「手をつないだのも、キスをしたのも、優音が初めて」


真っ赤になった顔を両手で隠す、彩人くん。

お互いが、お互いのファースト・キスの相手。



何か……何かっ……。


「――――嬉しい」


わたしは感激して、小さく呟いた。



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