翼を失くした天使の羽音
「優音……」

名前を呼ばれて、彩人くんのほうを見ると。


ドキン――。

彩人くんは、真っ直ぐ前を見つめていて、

その真剣な横顔に、つい見とれてしまった。



ずるいよ……。
カッコいい――…



「優音、あれって、かなっぺじゃない?」


彩人くんのその一言で、わたしは我に返った。


――え…?
奏子ちゃん?



「どこ?」

「あそこ」


彩人くんの視線をたどると、
確かに――――いた。


けど……。



「一緒にいるのって、優音たちと同じクラスの須藤じゃ……?」

「……う……うん」


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