翼を失くした天使の羽音
「俺さ、この歌、前は1番ばっかり聴いてたけど、優音に出会ってからは、2番の歌詞しか聴いてない」


「え?」


「モシモアノトキ、優音に出会ってなかったら、俺は今も過去を後悔してばかりで、前に進めずにいたと思う」



彩人くん……。
その言葉ね、すごぉーく嬉しいんだけど。


それは違うよ……。



「モシモアノトキ、天人くんのフリをした彩人くんに出会ってなかったら、わたしは今も恋を知らずにいたと思う」


きっと、奏子ちゃんとも仲良くなれずにいた。



天人くんへの憧れ……初恋。
奏子ちゃんとの友情。


きっかけをくれたのは、彩人くんだった。



わたしの恋を、恋愛に変えてくれたのも。
手をつないだり、デートをしたり、キスをしたのも。


全部、彩人くんなんだ。



だからね、大好きなの。



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