翼を失くした天使の羽音
「何、優音っ……どうしたの?」

「あのね……お誕生日、おめでとう」


「えっ」

「ちゃんと言ってなかったから」


「あー……うん。優音、ありがと」

「うん」



照れながら手をつないで、歩きはじめた時。

彩人くんのポケットから、ひらり。

わたしの足元に何かが舞い落ちた。



「何か落ちたよ」



拾いあげた、1枚の紙。


写真――?



どくん。



学園祭の時の記憶がよみがえる。



あの銀杏の木の下で、彩人くんは誰かの写真を見つめてた。



切ない顔で――――




「それ、俺の宝物」



彩人くんは優しい笑顔で言った。



「写真?」

「うん」



「誰の――――?」



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