翼を失くした天使の羽音
夏休み最後の日曜日だった。

俺はサラとデートの約束をしていた。


だけど、俺はサラに内緒でバイトをしてて……。


どうしても、贈りたい物があったんだ。



サラが欲しがっていた、
トパーズの指輪――…


その日も、急にバイト先から連絡がきて、午前中だけ出勤する事になった。


サラとの約束は昼からだから、じゅうぶん間に合うと思ってた。



――けど。

思ったより忙しくて、夢中でバイトをしてた俺は気づかなかった。



約束の時間を過ぎていた事に……。



サラから電話がきて、慌てて待ち合わせ場所に急いだ。



横断歩道の向こう、笑顔で待っててくれたサラ。



信号の色なんか見えてなかった。



俺は取り返しのつかない事をした――。







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